えびすの三線ライフ

三線を弾き、唄い、学び、暮らす。還暦を迎えてなお新しい景色を求めながら、八重山民謡の稽古と日々の暮らしを重ねています。小さな積み重ねの中にある喜びや気づきを、ゆっくり綴っていきます。

8月に入って掲げた「コンクール課題曲7曲を、それぞれ100回以上通す」という目標。今朝の練習終了時で63回と、順調に回数を積み重ねることができている。

毎日、同じ7曲を繰り返す。

一見すると、単純な練習である。しかし、回数を重ねているからこそ、見えてくるものがある。

その一つが、自分自身のちょっとした「波」である。

昨日は気持ちよく響いていた声が、今日は微妙に響かない。いつもなら無理なく届く高音が、少し苦しい。三線も、指が自然に動く日もあれば、なぜか引っかかる日がある。

大きく調子を崩しているわけではない。「今日は体調が悪い」と自覚するほどでもない。それでも、いつもと何かが違う。

毎日ほぼ同じことを繰り返しているから、そのわずかな違いがわかるようになってきた。

これは、数をこなす稽古の思わぬ効用だった。

一回一回の出来だけを見れば、「今日はうまくいった」「今日はダメだった」で終わってしまう。しかし、何十回と繰り返していると、その日の出来に一喜一憂するのではなく、自分の状態を少し離れたところから観察できるようになる。

今は少し声が重い。今日は高音が出にくい。それでも、この状態ならどこまでできるのか。

そんなことまで考えながら稽古するようになった。

コンクールに向けて目指したいのは、単に「最高の演奏」が一度できることではない。

まず、自分が今出せる最高のレベルを、少しずつ引き上げていく。そして同時に、そのレベルに近い演奏を、いつでも当たり前のように再現できるようにする。

最高到達点を上げることと、最低ラインを引き上げること。

この両方が必要なのだと思う。

昨年、新人賞を受験したときに実感したことがある。

本番の舞台では、練習のときに持っている力を100%出せるとは限らない。緊張する。いつもと環境が違う。普段なら間違えないところで指が止まることもある。

「持てる力の7割を出せれば成功」

新人賞の経験から、今はそう考えている。

だからこそ、やるべきことは明確だ。

本番でいきなり100%を出そうとするのではない。その「持てる力」そのものを引き上げておく。

自分の実力が100なら、本番で7割出して70。でも、稽古を積み重ねて実力を120、130へと引き上げることができれば、同じ7割でも本番で出せるものは変わってくる。

さらに、繰り返しによって演奏の再現性が高まれば、「7割」の底上げもできるはずだ。

調子のいい日だけできる演奏ではなく、少しくらい声の響きが悪くても、高音が出にくくても、緊張していても、大きく崩れない。

そんな演奏をつくっていきたい。

8月も後半に入った。

100回という数字を達成すること自体が目的ではない。その100回の中で、自分の演奏を知り、自分の身体を知り、少しずつ最高到達点と再現性を引き上げていく。

回数を重ねた先に、何が見えてくるのか。

ここで緩めることなく、今日もまた7曲を通す。

一回一回を積み重ねながら、本番で当たり前のように自分の演奏ができるところまで持っていきたい。

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