三線を始めた頃は、工工四(くんくんしー)を見ながら弾くのが当たり前だった。
しかし、人前で演奏する機会が増えるにつれ、「やはりお客さんの方を向いて歌いたい」「工工四ではなく音楽に集中したい」と思うようになり、暗譜・暗唱に取り組み始めた。
いろいろ試行錯誤した結果、今では新しい曲を習うときは、まず暗譜・暗唱を前提に練習を進めている。
今回は、私が実践している方法を紹介したい。
① まずは音源を何度も聴く
最初はお手本の音源を繰り返し聴く。
歌詞を見ながらでも構わないので、一緒に歌えるくらいまで耳に入れることを目標にする。
「覚えてから歌う」のではなく、「聴きながら自然に覚える」感覚だ。
② 工工四を見ながら三線を合わせる
音源を聴くだけではなく、工工四を見ながら三線を弾く。
歌と三線を最初から結び付けて覚えていくことで、後の暗譜が楽になる。
③ フレーズごとに区切る
長い曲を一度に覚えようとすると頭が混乱する。
そこで、覚えやすい場所ごとにマーカーを引き、いくつかのフレーズに分ける。
「一曲」ではなく「短い部品」と考えるのがポイントだ。
④ 同じフレーズは色分けする
曲の中には、まったく同じフレーズや、よく似たフレーズが繰り返し出てくる。
同じ色のマーカーで色分けすると、
「ここはさっきと同じだ」
と一目で分かるようになる。
覚える量を減らすことができる。
⑤ 一つのフレーズを繰り返す
まずは一つのフレーズだけを何度も弾く。
このときは指の動きを意識しながら、
「どの音をどう押さえるのか」
を身体に覚え込ませる。
⑥ 覚えたら次へ進む
ある程度弾けるようになったら、次のフレーズへ進む。
完璧を求めすぎず、「だいたい入ったかな」というくらいで前へ進むほうが効率がいい。
⑦ 前のフレーズとつなげる
新しいフレーズだけで終わらせず、必ず前のフレーズから続けて弾く。
ここでつながらなければ、前のフレーズに戻る。
この積み重ねで、一曲が少しずつ一本につながっていく。
⑧ 歌も一緒に覚える
三線だけでなく、歌も一緒に歌う。
最初は一番の歌詞だけで十分。
歌と三線を別々に覚えるより、同時に覚えたほうが後で苦労しない。
⑨ 工工四を見ずに通してみる
全体がつながってきたら、工工四を見ずに通して弾いてみる。
思い出せなくなったところだけ工工四で確認し、また工工四を閉じる。
「見ない時間」を少しずつ増やしていく。
⑩ あとは繰り返すだけ
最後は特別なことはしない。
ただ繰り返し弾き、歌い、身体に定着させる。
ある日突然、「考えなくても指が動く」という瞬間がやってくる。
そこまで来れば、その曲は自分の持ち歌になり始めている。
おわりに
暗譜・暗唱は才能ではなく、手順の問題だと思っている。
最初は時間がかかるように感じるかもしれない。しかし、一度身体に入ると、その後の練習の質は大きく変わる。
工工四を見る時間が減ることで、歌の表現や節回し、強弱、そして「聴いている人に伝えること」に意識を向けられるようになる。
私自身、この方法で練習するようになってから、新しい曲を覚えるスピードも、人前で演奏するときの安心感も大きく向上した。
もし暗譜・暗唱に苦手意識がある方がおられたら、ぜひ一度試してみてほしい。


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