えびすの三線ライフ

三線を弾き、唄い、学び、暮らす。還暦を迎えてなお新しい景色を求めながら、八重山民謡の稽古と日々の暮らしを重ねています。小さな積み重ねの中にある喜びや気づきを、ゆっくり綴っていきます。

出張先のホテル。さすがに部屋で声を出して唄の稽古をするわけにはいかない。

そこで三線だけを取り出して、昨年の新人賞の課題曲を久しぶりに弾いてみることにした。

昨年6月のコンクールに向けて、何百回と繰り返した曲だ。あれだけ弾いたのだから、今でもそれなりに手が動くだろうと思っていた。

ところが、甘かった。

一年以上ほとんど弾いていないと、驚くほど忘れている。次の音が出てこない。工工四を見ながら、「そうやった、ここやった」と確認しながら弾いていく。

それでも不思議なのは、何度か繰り返しているうちに、少しずつ当時の感覚が戻ってくることだ。

「ここは何度も出てくる運指だった」

「ここから音が上がっていって、折り返して下がってくる」

そんなふうに、単に音の並びとしてではなく、自分がその曲をどう覚えていたのかまで蘇ってくる。

完全に忘れてしまったように思えても、何百回も繰り返したものは、どこか記憶の片隅に残っているらしい。頭で思い出すというより、指を動かすことで記憶を掘り起こしていくような感覚だった。

今は優秀賞の課題曲の稽古が中心なので、新人賞の曲に時間を割く余裕はあまりない。

それでも、せっかく何百回も弾いて身体に入れた曲だ。このまま完全に眠らせてしまうのは、少しもったいない。

毎日練習する必要はない。月に一度でも、ほんの数回でもいい。

たまには昔の課題曲も取り出して弾いてみようと思う。

新しい曲を身につけていくことと同じくらい、一度身につけた曲を忘れないようにつないでおくことも、自分の持ち歌を増やしていくためには大切なのかもしれない。

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