10数年前、高校に通う娘のために毎朝お弁当を作っていた。
もちろん自分の分も一緒に作っていたけれど、あくまで主役は娘のお弁当だった。
だから、娘が高校を卒業すると同時に、お弁当づくりも終わった。
自分の中では、弁当というのは「誰かのために作るもの」だったのだと思う。
それから長い間、自分のために弁当を作るという発想はなかった。
ところが今年の春頃、特に何かを決意したわけでもなく、ふと「作ってみようかな」と思った。
そこから始めてみたら、気がつけばもう2か月。
今ではすっかり朝のルーチンのひとつになっている。
朝起きて、朝食を作り、身支度をして、弁当を作って、コーヒーを淹れる。
最初は卵焼きを焼いて、おかずを詰めるだけだった。
それが少しずつレシピを調べるようになり、いろいろ試すようになり、作れるメニューも増えてきた。
「今日は何を入れようか」と考える時間も、案外悪くない。
そして何より、昼休みが充実した。
コンビニや外食も手軽でいいけれど、自分で作った弁当を開ける時間には、ちょっとした満足感がある。
不思議なもので、「今日はうまくできたな」とか、「次は味付けを変えてみよう」とか、小さな楽しみも増えていく。
さらに、自分で弁当を作っていると話すと、なぜか周囲からの評価も高い。
「えらいですね」
「ちゃんと続いているんですね」
そんな言葉をかけてもらうことも増えた。
今のところ、いいことしかない。
職業生活があと何年続くのかはわからない。
退職したら、また生活のリズムも変わるのだろう。
それでも、このお弁当づくりだけは、肩肘張らずに続けていけたらいいなと思う。
何か大きな目標があるわけではない。
ただ、自分のために作る昼ごはんが、自分の毎日を少しだけ整えてくれている。
そんな小さな習慣を、これからも大切にしていきたい。

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