昨年、新人賞に合格した時、次は1年後の優秀賞だと思っていた。
1年間しっかり練習して、翌年には優秀賞に挑戦する。
そんな未来を、わりと当たり前のように思い描いていた。
ところが現実は、そう簡単ではなかった。
仕事をして、酒を飲んで、三線を練習する。
若い頃なら普通にできていたことが、60歳手前の私にはなかなか両立できなかった。
夜に酒を飲めば、その日は三線を触らない。
翌朝も身体が重く、練習時間を確保できない。
「今日はいいか。」
その積み重ねが、少しずつ大きな差になっていった。
そして気がつけば、優秀賞を受験できるレベルまで仕上げることができなかった。
師匠から「もう1年延ばしましょう」と言われた時は、正直悔しかった。
もちろん、実力が足りなかっただけの話だ。
でも今振り返ると、原因は案外はっきりしている。
私は、酒も三線も両方を手に入れようとしていたのだ。
ところが、高齢になると体力も集中力も無限ではない。
若い頃のように全部を抱え込めるわけではないらしい。
どこかで選択をしなければならない時期が来ていたのだと思う。
今年に入って、私は何となく節酒を始めた。
健康診断の数値も気になっていたし、年齢のこともあった。
でも今になって思う。
私は節酒を選んだのではない。
三線の上達を選んだのだ。
朝練習が続くようになった。
毎日少しずつでも三線を触るようになった。
課題曲が身体に入り始めた。
昨日より少し上手くなった自分を感じられるようになった。
そして何より、三線が前よりずっと面白くなった。
もちろん、酒をやめたわけではない。
仲間と飲む酒は今でも楽しい。
ただ、一人で飲む時間と三線を弾く時間を比べた時、今の私は迷わず三線を選ぶ。
昨年の私は、それができなかった。
今年の私は、それができている。
たぶん、その違いは一年後に結果として現れるのだと思う。
来年のコンクールの日、舞台の上で三線を弾きながら、「あの時、三線を選んでよかった」と思えたらいい。
今はそんな気持ちで、毎朝三線を手に取っている。

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