三線を始めてから何度も感じていることがある。
それは、上達のための特別な秘訣や魔法の練習法があるわけではなく、結局のところ「毎日三線に触ること」が一番大切だということだ。
もちろん、一日三時間も四時間も練習できれば理想かもしれない。
でも、仕事があり、家庭があり、地域活動があり、飲み会や付き合いもある。毎日長時間の練習時間を確保することは現実には難しい。
だからこそ大事なのは、「たくさん練習する日を作ること」ではなく、「練習しない日を作らないこと」なのだと思う。
五分でもいい。
一曲だけでもいい。
三線を手に取り、音を出す。
その積み重ねが、一か月後、半年後、一年後には驚くほど大きな差になる。
逆に、一週間触らないと指は驚くほど動かなくなるし、覚えたはずの歌詞や工工四もあやふやになってしまう。
三線は、スポーツの筋肉や語学の記憶とよく似ている。
毎日少しずつ身体に染み込ませていくことで、初めて自分のものになっていく。
継続を支えるのは気合いではなく仕組み
とはいえ、「毎日やろう」という決意だけで続けられるほど、人間は強くない。
私自身、これまで何度も計画を立てては挫折してきた。
だから今回は、意志の力に頼るのをやめて、「続けやすい仕組み」を作ることにした。
その一つが、練習できた日に手帳へ小さなカラーシールを貼ることだ。
たったそれだけのことなのだが、これが意外なほど効果がある。
シール一枚が「今日もやった」という証拠になる
練習を終えたあと、小さなシールを一枚貼る。
赤でも青でも緑でもいい。
手帳のカレンダーに少しずつ色が増えていく。
すると、不思議なことが起こる。
昨日も貼った。
一昨日も貼った。
先週もずっと貼っている。
そうなると、「今日だけはやめておこう」が言いにくくなる。
せっかく続いている流れを止めたくなくなるのだ。
心理学では「ストリーク効果」(連続している記録を途切れさせたく心理が働き、行動が継続しやすくなる現象)とも言われるが、理屈よりも実感として分かる。
シールが並んでいる手帳を見ると、少し嬉しい。
そして、「自分はちゃんと続けている」という小さな自信になる。
練習時間ではなく、継続回数を評価する
大切なのは、シールを貼る基準を高くしすぎないことだと思う。
一時間練習しないと貼れない。
七曲全部通さないと貼れない。
これでは疲れた日や忙しい日に続かなくなる。
五分でもいい。
一曲だけでもいい。
三線を手に取って弾いた。
それで合格。
それでシールを貼る。
続けることが目的なのだから、ハードルは低い方がいい。
長時間練習できた日はもちろん素晴らしい。
でも、本当に評価すべきなのは、「忙しい日でも五分だけ触った日」の方かもしれない。
そういう日が、未来の自分を作っていく。
シールが増えるほど、自信も増えていく
三線の上達は階段のようには進まない。
昨日より今日、今日より明日と毎日上手くなるわけではない。
むしろ、しばらく停滞しているように感じる時期の方が長い。
それでも、ある日突然、
「あれ、前より歌いやすい。」
「あれ、前は止まっていた場所が止まらない。」
そんな瞬間がやってくる。
その裏側には、目に見えない毎日の積み重ねがある。
手帳に並んだシールは、その積み重ねを目に見える形にしてくれる。
上達が見えない日でも、努力は見える。
これは思っている以上に大きい。
今日も一枚、シールを貼るために
コンクールまでまだ長い道のりがある。
きっと思うようにいかない日もある。
仕事で疲れる日もある。
帰宅が遅くなる日もある。
それでも、三線を手に取って五分だけ弾く。
そして、今日も小さなシールを一枚貼る。
その一枚一枚が積み重なった先に、舞台の上で自信を持って演奏している自分がいるのだと思う。
上達の秘訣は、特別なことではない。
今日も三線に触った。
その事実を積み重ねること。
結局、それが一番強い。

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