えびすの三線ライフ

三線を弾き、唄い、学び、暮らす。還暦を迎えてなお新しい景色を求めながら、八重山民謡の稽古と日々の暮らしを重ねています。小さな積み重ねの中にある喜びや気づきを、ゆっくり綴っていきます。

「やる気が出たらやろう」

そう思っているうちに、時間だけが過ぎていくことがある。

仕事でも、勉強でも、趣味の練習でも同じだ。最初に必要なのは、強い決意や燃えるような情熱だと思いがちだが、実はそこに頼ると案外うまくいかない。

なぜなら、人間の気持ちは波があるからだ。

昨日は「明日から頑張ろう」と本気で思っていても、翌日仕事で疲れて帰ってくると、その時の自分は別人のようにやる気を失っている。

意思の力だけで継続するのは難しい。

最近強く感じているのは、

「やる気があるから始める」のではなく、
「始めるからやる気が出る」

ということだ。

心理学では「作業興奮」と呼ばれる考え方がある。

面倒だな、しんどいなと思っていても、とりあえず5分だけ取り掛かってみる。すると、不思議なことに少しずつ集中力が出てくる。

部屋の片付けもそうだ。

散らかった部屋を見ると、とてつもなく大きな山に見える。しかし、とりあえず机の上だけ片付けてみる。すると、次は棚、その次は床と、気づけば作業が進んでいることがある。

遠くから見ると巨大な山でも、歩き始めると意外に小さな丘だったということは多い。

もちろん逆の場合もある。

簡単だと思って始めたことが、進んでいくうちに思った以上に難しいことに気づくこともある。

しかし、それでも最初の場所から眺めていた時とは違う。

もう歩き始めているからだ。

目の前にあるのは「越えられない巨大な山」ではなく、「一つひとつ越えていく小さな丘」になる。

三線の練習でも同じだ。

暗譜ができない。
高音が出ない。
音程が安定しない。

最初に全部考えると、大きすぎる課題に見えてしまう。

でも、まず三線を手に取る。

一曲だけ弾いてみる。

一箇所だけ直してみる。

すると、自然と次の課題に向かう気持ちが出てくる。

続ける人と続かない人の差は、強い意思を持っているかどうかではなく、「始める仕組み」を持っているかどうかなのかもしれない。

だから今日も、正直それほどやる気満々というわけではない。

少し疲れている。
少し休みたい気持ちもある。

でも、とりあえず三線を持ってチンダミする。

きっと気づけば練習している。

やる気は待つものではない。

動き始めた自分の後ろから、遅れてついてくるものなのだ。

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