フィギュアスケートのオリンピアン、高橋成美さんのお話を聞く機会があった。
世界の大舞台を経験したアスリートの言葉の中で、特に心に残ったことがある。
それは「緊張をどう捉えるか」という話だった。
多くの人は、本番前に緊張するとこう考えてしまう。
「緊張したら失敗する」
「落ち着かなければいけない」
「普段通りやらなければいけない」
しかし、高橋さんの考え方は違っていた。
緊張は悪いものではない。
緊張しているからこそ、集中力が高まり、自分の力を最大限発揮できる。
そう捉えるという話だった。
これは、とても大きなマインドチェンジだと感じた。
考えてみれば、オリンピック選手でさえ緊張する。当然だ。人生をかけて積み上げてきたものを、わずか数分の演技で出し切らなければならない。
緊張しないはずがない。
大切なのは「緊張しない方法」を探すことではなく、「緊張した状態でも力を出せる自分」を作ることなのだと思う。
もちろん、その境地に行くためには圧倒的な練習量が必要になる。
「これだけやったのだから大丈夫」
そう思えるだけの日々の積み重ねがあって初めて、緊張を味方につけることができる。
自分自身、八重山古典民謡コンクールに挑戦する中で、本番の怖さを感じている。
練習では弾ける。
家では歌える。
しかし、審査員が座るホールの舞台に一人で座った瞬間、同じようにできる保証はない。
だからこそ、最近は本番会場の写真を見ながら稽古をしている。
審査員席を想像し、舞台の空気を想像し、緊張する状況を普段の練習の中に取り入れる。
本番だけ特別な場所にしないためだ。
それでも、本番では必ず緊張すると思う。
でも、その時にこう思える自分でいたい。
「緊張してきた。まずい」
ではなく、
「緊張してきた。準備が整った証拠だ」
と。
心臓が高鳴るのは、それだけ真剣に向き合ってきたから。
手が震えるのは、それだけ大切な挑戦だから。
緊張できる場所に立てること自体が、幸せなことなのかもしれない。
練習は裏切らない。
もっと言えば、最後に信じられるものは、積み重ねてきた練習しかない。
緊張を消すためではなく、緊張した自分と一緒に最高の演奏をするために。
今日もまた、一回一回の稽古を大切に積み重ねていきたい。
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