えびすの三線ライフ

三線を弾き、唄い、学び、暮らす。還暦を迎えてなお新しい景色を求めながら、八重山民謡の稽古と日々の暮らしを重ねています。小さな積み重ねの中にある喜びや気づきを、ゆっくり綴っていきます。

フィギュアスケートのオリンピアン、高橋成美さんのお話を聞く機会があった。

世界の大舞台を経験したアスリートの言葉の中で、特に心に残ったことがある。

それは「緊張をどう捉えるか」という話だった。

多くの人は、本番前に緊張するとこう考えてしまう。

「緊張したら失敗する」
「落ち着かなければいけない」
「普段通りやらなければいけない」

しかし、高橋さんの考え方は違っていた。

緊張は悪いものではない。
緊張しているからこそ、集中力が高まり、自分の力を最大限発揮できる。

そう捉えるという話だった。

これは、とても大きなマインドチェンジだと感じた。

考えてみれば、オリンピック選手でさえ緊張する。当然だ。人生をかけて積み上げてきたものを、わずか数分の演技で出し切らなければならない。

緊張しないはずがない。

大切なのは「緊張しない方法」を探すことではなく、「緊張した状態でも力を出せる自分」を作ることなのだと思う。

もちろん、その境地に行くためには圧倒的な練習量が必要になる。

「これだけやったのだから大丈夫」

そう思えるだけの日々の積み重ねがあって初めて、緊張を味方につけることができる。

自分自身、八重山古典民謡コンクールに挑戦する中で、本番の怖さを感じている。

練習では弾ける。
家では歌える。

しかし、審査員が座るホールの舞台に一人で座った瞬間、同じようにできる保証はない。

だからこそ、最近は本番会場の写真を見ながら稽古をしている。

審査員席を想像し、舞台の空気を想像し、緊張する状況を普段の練習の中に取り入れる。

本番だけ特別な場所にしないためだ。

それでも、本番では必ず緊張すると思う。

でも、その時にこう思える自分でいたい。

「緊張してきた。まずい」

ではなく、

「緊張してきた。準備が整った証拠だ」

と。

心臓が高鳴るのは、それだけ真剣に向き合ってきたから。

手が震えるのは、それだけ大切な挑戦だから。

緊張できる場所に立てること自体が、幸せなことなのかもしれない。

練習は裏切らない。

もっと言えば、最後に信じられるものは、積み重ねてきた練習しかない。

緊張を消すためではなく、緊張した自分と一緒に最高の演奏をするために。

今日もまた、一回一回の稽古を大切に積み重ねていきたい。

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