えびすの三線ライフ

三線を弾き、唄い、学び、暮らす。還暦を迎えてなお新しい景色を求めながら、八重山民謡の稽古と日々の暮らしを重ねています。小さな積み重ねの中にある喜びや気づきを、ゆっくり綴っていきます。

宴会や懇親会に、三線を持ってきてほしいというリクエストをいただくことが多い。

正直に言えば、少し大変な部分もある。ケースに入れて持ち歩く三線はそれなりに荷物になるし、「余興だから適当でいい」とは思えない。

人前で演奏する以上、短い時間でも聴いてくれる人にはいいものを届けたい。そう思うと、演奏前から調弦を確認したり、曲順を考えたり、声の調子を整えたりする。

だから三線を持っていく日は、完全にリラックスしてお酒を飲むというわけにはいかない。

でも、それ以上に得るものが大きい。

不思議なもので、歌三線を披露すると、その場の空気が一気に柔らかくなる。

それまで仕事の肩書きや立場で向き合っていた人たちとの間に、音楽という共通の時間が生まれる。

演奏が終わったあと各テーブルを回ると、初対面の人からも自然に声をかけてもらえる。

「いつから三線をやっているんですか?」

「沖縄の曲っていいですね」

「自分も何か楽器を始めてみたいと思いました」

そんな会話が次々に生まれる。

もし三線がなければ、名刺交換や当たり障りのない挨拶だけで終わっていたかもしれない。でも一本の三線があるだけで、人との距離がぐっと縮まる。

考えてみれば、楽器というものは演奏技術を披露するだけのものではないのだと思う。

人を笑顔にしたり、会話のきっかけを作ったり、新しい縁を運んできてくれる。

まさに「芸は身を助ける」。

若い頃から積み重ねてきたもの、好きで続けてきたものは、思わぬ場面で自分を支えてくれる。

これからも三線を持って出かける時は、少し荷物は増えるし、少し緊張もするだろう。

それでも、その先に生まれる出会いや笑顔を思うと、やっぱり三線を抱えて出かけたくなる。

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