えびすの三線ライフ

三線を弾き、唄い、学び、暮らす。還暦を迎えてなお新しい景色を求めながら、八重山民謡の稽古と日々の暮らしを重ねています。小さな積み重ねの中にある喜びや気づきを、ゆっくり綴っていきます。

石垣島を訪れるたびに、ユーグレナモールの側にある山田書店に立ち寄る。旅の合間にふらりと入るこの本屋は、いつの間にか自分にとって欠かせない場所になっている。

https://www.instagram.com/yamada_ishigaki?igsh=MTE1ejBwc2k0dnJ6ag==

今回も店内を眺めていると、『花の大陸 -La Florida-』という一冊が目に入った。地元で読まれている小説だという紹介に加え、作者が自衛隊基地配備をめぐる住民投票署名運動を主導した人物であると知り、強く興味を惹かれた。その背景を思うと、この作品がどのような視点で島を描いているのか、ぜひ読んでみたいと思い、そのまま購入した。

もともと読書が好きで、若い頃には活字中毒と言っていいほど本を読み漁っていた時期もある。最近は以前ほど読む機会は減ったが、旅先で出会う本にはやはり特別な意味を感じる。

この小説の舞台は2038年の石垣島。アメリカからやってきた少女・フロリタが、自然豊かな島で人々と出会い、成長していく物語だ。タイトルの「La Florida」はスペイン語で「花の大陸」を意味し、さまざまな文化や価値観が交わる未来の石垣島が描かれている。

何度も石垣島を訪れている私にとって、この作品の魅力はストーリーだけではなかった。離島ターミナルや市街地、海沿いの道、ゆったりと流れる島の時間が、自然と頭の中に浮かんでくる。自分が歩いた景色と物語の世界が重なり合い、より深く作品に入り込むことができた。

もちろん未来を舞台にしたフィクションであり、現実とは異なる設定も多い。しかし、「もしも石垣島がこうなったら」という想像には、単なる空想以上のリアリティがある。作者の背景を知っているからこそ、その描写の一つひとつに、島の未来への思いや社会への問題意識がにじんでいるようにも感じられた。

読み終えて感じたのは、この作品が単なる未来小説ではなく、「人が暮らす場所とは何か」を静かに問いかける物語だということだ。派手な展開で読ませるのではなく、自然や人とのつながりを丁寧に描きながら、読者に考える余白を残してくれる。

この小説は、これまで何度も訪れ見てきた島の風景に、新たな視点を与えてくれた。知っている場所が物語の舞台になることで、読書体験はより豊かなものになる。

次に石垣島を訪れたときも、山田書店には足を運ぶだろう。旅先で出会う一冊は、その土地の記憶と結びつき、読む体験を深めてくれる。そんな静かな楽しみが、またこの島へ向かわせる。

Posted in ,

コメントを残す

えびすの三線ライフをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む