八重山民謡を歌っていて、難しいと感じることの一つがブレスである。
八重山民謡では、基本的にブレスをする場所まで決められている。
どこでも苦しくなったところで息を吸えばいい、というものではない。唄の流れ、歌詞の意味、節回しを崩さないために、「ここで息を吸う」という場所がある。
まずは、その指定された場所でブレスをすることが原則になる。
ところが、これがなかなか難しい。
八重山民謡はブレスから次のブレスまでが長いところが多い。指定された場所でしっかり息を吸ったつもりでも、次のブレスまで息が続かないことがある。
だからといって、限界まで我慢すればいいわけでもない。
息が足りなくなると、フレーズの最後で声が弱くなったり、音程が不安定になったりする。次のブレスで慌てて息を吸うことになれば、唄全体の流れまで崩れてしまう。
そこで必要になるのが、どうしても続かない場合に、どこで補助的なブレスを入れるかという判断である。
もちろん、どこでもいいわけではない。
歌詞の意味を不自然に切らない。節回しの途中を切らない。唄の流れをできるだけ損なわない。
原則のブレス位置を守ることを目指しながら、それが難しいところでは、適切な場所を選んで息を継ぐ。
これも一つの技術なのだと思う。
そして、もう一つ大切なのが、一息の使い方である。
最初から息を使いすぎれば後半が苦しくなる。反対に、息を残そうとして声を抑えすぎれば、唄に力がなくなる。
どこで声を出し、どこで少し抑え、フレーズの最後までどれくらい息を残しておくのか。
単に肺活量の問題として考えるのではなく、一息をどう配分するかを考えなければならない。
三線を弾きながらとなると、さらに難しい。
三線の手、勘所、歌詞、音程、節回しに意識を向けながら、自分の息の残量まで感じ取る必要がある。
だからこそ、ブレスについても練習の中で意識しておきたい。
指定されたブレス位置を確認する。
そこまで一息で歌えるように練習する。
どうしても難しいところは、唄を壊さない補助ブレスの位置を決めておく。
そして、その位置を毎回変えるのではなく、繰り返し歌って身体に覚え込ませる。
本番で息が苦しくなってから、「どこで吸おう」と考えているようでは遅い。
どこで吸い、その一息をどこまで持たせるのか。
ブレスも含めて一曲を身体に入れていく。
八重山民謡の稽古は、音程や節回し、三線の技術だけではない。
息を吸う場所、息を使う量、そして必要なときに息を継ぐ場所。
「息」もまた、唄を形づくる大切な要素なのである。
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